角界を追われたアウトロー力士が繰り広げる大麻相撲中継が終わったので、私は電脳空間「スプロール」に没入、テレビをオフにした。地デジver3.0が呼応して光を失うのをリアルの網膜で見る。再び没入。ミュージックボックスからお気に入りの曲を取り出し電脳で聴く。電気信号化されて染み込んでくるミュージックは壊死した水母のようだ。私ははるか昔、同じことを口に出したことがある。ヨコハマ。中華街。私の言葉を聴いた男は「鼓膜で聴くのと変わらないさ。旦那は凝り性、アーティストすぎるのさ」と言って翌朝、本牧D-4埠頭の冷たい海に浮いた。ライセンスを所持していない私はため息をつきながらサウンドを待つ。やれやれ。電脳にため息は存在しない。私が選んだ曲は発表当時は泣かず飛ばずで、3rdシングル「恋がピカピカ」とベスト盤を出した後、TKプロデュースで行方不明になったグループのものだ。曲が流れだす。GIRL NEXT DO