気づかないうちに、人は普段いる場所の時間感覚を身につけているはずだ――。15年以上歩みを続けてきた劇団ハイバイの主宰にして、劇作家、演出家、俳優の岩井秀人は、そう言葉にした。今年2月から全国を行脚した、松尾スズキ・松たか子・瑛太・前野健太らが名を連ねた新作『世界は一人』を終えた岩井は、生まれてこの方40年以上住み続ける東京の小金井で今、羽を休めている。 多摩や島しょ地域の自然の魅力、そこでの体験価値を発見する事業を東京都及び(公財)東京観光財団が支援するプロジェクト『Nature Tokyo Experience』を考えるにあたって、「東京だけど東京じゃない」という「小金井性」が沁みついていると語る岩井に、じっくりと話を聞いてみた。目まぐるしい日々で生きていくうちに忘れてしまいがちなオルタナティブな感性が、ここにはある。 新作も再演も、一つひとつの作品をじっくり作っていきたい。 ―ここ最近