ここ最近、プルシアンブルーが俄然盛り上がっている。おそらく現在確認される日本で最初の使用例がかの若冲だったことが判明したことや、「皇室の名宝―日本美の華」展(東京国立博物館、2009年)などの展覧会がきっかけとなったのではなかろうか。ついこの間までグーグルで検索してもほとんどヒットしなかったのが、今や各種報告、新聞記事、ブログなどなど、まさに百花繚乱で、まことに喜ばしい。 プルシアンブルーは、18世紀ヨーロッパで人工合成された青色顔料で、別名ベルリンブルー。同世紀中には江戸時代の日本に長崎経由で輸入・紹介され、「紺青」「ベロ」「ヘレンス」(ベルリンの訛)などの名で呼ばれ、はじめ洋風画に用いられたが、文政12年(1829)頃以降は、北斎や広重の浮世絵に多く用いられるなど、幅広く普及した。日本文化の象徴的存在として、もはや国際的にも広く知られる北斎・広重の「浮世絵の青」が、実は「西洋の青」であ