東日本大震災から5年。政府が集中復興期間と位置付けた5年間の最後の年度を終えようとしています。建築は震災復興で十分に役割を果たせたのでしょうか。 震災直後から、建築家をはじめ多くの建築実務者が被災地に乗り込み、懸命に復興を支援してきました。被災者の声に耳を傾け、手弁当で提案を練り、実現を目指して奔走しました。見返りを求めないその姿勢には頭が下がります。 しかし残念なことに、良かれと思って提案した計画の多くは行政や法制度などの壁に阻まれて志が遂げられず、被災地で奮闘した建築実務者には挫折感が漂っています。実行力を問われ、被災者の心も次第に離れていきました。 なぜ建築は、震災復興で思うように役割を果たせなかったのでしょうか。なぜ意欲が空回りする結果となったのでしょうか。日経アーキテクチュア2016年3月10日号の特集「建築の挫折」では、復興支援に関わった当事者たちの肉声を通じて震災復興の教訓を