「中東・アフリカ」研究会 FY2022-04号 「研究レポート」は、日本国際問題研究所に設置された研究会参加者により執筆され、研究会での発表内容や時事問題等について、タイムリーに発信するものです。「研究レポート」は、執筆者の見解を表明したものです。 イスラエルでは3年半で5回目の総選挙を経て、2022年12月末に第6次ベンヤミン・ネタニヤフ政権が発足した。しかし、内政の混乱は収まりそうにない。極右政党が大きな発言力を持つ新政権は、司法改革や占領地問題で極端な政策を推し進めようとしている。これに対し法曹界や軍内部を含め広範な批判や反対が起きている。極右勢力台頭の背景には、パレスチナ問題解決の可能性がまったく見えない中で、イスラエル支配地域で二民族が対立を続ける「一国家二民族」という現実がある。新政権の政策はパレスチナ情勢に重大な悪影響を及ぼすとともに、イスラエルの民主主義を劣化させる危険をは