スイス北東部のザンクト・ガレンは、キリスト教の神学研究の拠点としてヨーロッパ中に知られてきました。8世紀に建てられたザンクト・ガレン修道院の図書館に、修道士たちが書き残した写本をはじめ貴重な蔵書があったからです。その数は16万冊に上ります。 「シリーズ世界遺産100」では、図書館司書のカール・シュムキさんに収蔵庫を案内してもらい、ザンクト・ガレン修道院で育まれた中世の写本芸術を紹介します。図書館の入り口に掲げられたギリシャ語「プシヒス・イアトゥリオン」は、魂の病院を意味しています。中世、教養がないことは心の病と考えられ、図書館はそれを癒す場所でした。蔵書で最も貴重なのは、印刷技術が発明される前、8世紀から12世紀に修道士たちによって書き写された写本です。2000冊の写本は、神学だけでなく医学や天文学にも及んでいます。頭文字を絵画のように飾るイニシャル芸術は、ザンクト・ガレン修道院で一層豪華