人の助言は貴重なものである。しかし、ただ聞くだけでは何にもならないから、それを自分流に消化する必要がある。そうしなければ助言を生かすことができないからである。人生の節目節目に私は先達の助言を積極的に求めた。学位を取ったときにお祝いやら感想やら激励やらの助言をもらったが、その中で3つの助言は今でも心に残っている。面白いと思うのでそれを紹介しよう。 「学位は足の裏に付いた飯粒みたいなもの」 まずは会社のある先輩からのもので、「おめでとう、学位は足の裏に付いた飯粒みたいなものだよ、取っても食えないが取らなければ気になる」というものである。ともかく、ウイットが効いていて、またその語呂が良いのにまず感心した。皮肉にあふれているように思えるその助言を面白いと思っただけで、礼を言ってその場は終った。しかし、後になってよくよく考えてみるとその内容は誠に含蓄の深いものであることを悟った。「食えない」とは、文
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