歴史と向き合うためには? 共産党員だったため拷問にかけられた万愛花さん/(C)2018 Ban Zhongyi ――真理を求める被害者に抗うように、いまの日本では歴史を歪曲するような動きが目立っています。班さんが映画を作ろうと思った背景には、歴史修正主義への危機感があったそうですが、具体的にそれを感じた出来事は? 班監督 95年に、私は中国人被害女性への支援活動を始めました。その募金の呼びかけが朝日新聞に取り上げられたときに、私の連絡先が掲載されたのですが、とある大学の教授から電話がきたんです。彼は、4歳で内モンゴルから山西省に来た愛花さんのことを「彼女は奴隷妻、童養媳(トンヤンシー)だろ?」と聞いてきました。童養媳とは、将来その家の男児の妻にするつもりで、女児を買って育てるという、中国にあった婚姻制度のことです。要は「一度中国人が奴隷とした女性を、なぜ日本人が踏みにじってはいけないのか?