古典期のギリシア人と数学 本連載で「ギリシアの数学」と呼んでいるのは、ギリシアにおいて古典期に発達した数学のことです。『4-1. ギリシアの数学とエジプトの数学』で述べたように、ペルシア戦争ののちギリシアのポリスの一つであるアテナイは未曾有みぞうの発展を遂げ各地から人が集まり文明が華開きます。ギリシア数学もこの時期に生まれたと考えられています。その後、数学研究の中心はアテナイからエジプトのアレクサンドリアに移ります。この時代をヘレニズム期と呼びます。古典期にアテナイで生まれた論証数学は、エジプトでオリエントの実用数学と出会い著しい変貌を遂げます。どのような変化を遂げたかを述べる前に、古典期のギリシア人たちが数学をどのように見ていたのか見てみましょう。 数学の役割と美的追求:アリストテレスとプラトン、ユークリッドの視点 前にも言いましたが、ギリシアの数学は書斎派の学者の理論で、オリエントの数
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