初回を観て「これはすごい」と思った。ただ、ふと我に返ると、どこか釈然としない気持ちに襲われている。それが『トットてれび』(NHK)を観た印象であり、第4話を見た今でも変わっていない。 黒柳徹子役の満島ひかりはイキイキとした姿を見せているし、『あまちゃん』(同)、『64(ロクヨン)』(同)などを手がけた井上剛の演出も、リアルとけれんのほどよいところを突いている。中園ミホの脚本も、大友良英の音楽も、いわゆる手練れの仕事。60年前のテレビを再現した番組や歌に、懐かしさを覚える人もいるだろう。 とりわけ目を引くのは、テレビ撮影やラジオ収録を再現した美術。NHK放送博物館に収蔵されているテレビカメラのレプリカを何台もつくったほか、セットや照明、俳優やスタッフの服装など、映るかどうかわからないような隅々まで再現しているという。加えて、当時のスタッフに現場の雰囲気や道具の使い方を監修・指導してもらうとい