今なお根強い人気があるアニメ「機動戦士ガンダム」は、人類が宇宙に進出した時代「宇宙世紀」が舞台です。日本人宇宙飛行士による月面着陸や、民間企業による宇宙旅行の計画が進むなど、人類の宇宙進出が現実味を帯びてきました。ガンダムの生みの親で、映画監督・原作者の富野由悠季さん(82)は、今、何を思うのか尋ねました。 ――ガンダムで描かれた宇宙世紀は現実に訪れそうでしょうか。 ガンダム・ワールドで考えるような宇宙世紀は来ないでしょう。 ――きっぱりと否定されて驚きました。ガンダムが最初に放送された40年ほど前よりも技術が進んだと思うのですが。 夢を売るという意味で、アニメで宇宙開発のシミュレーションをしましたが、現実的ではないと考えるようになりました。月や火星への飛行を目指す民間企業などが、簡単に宇宙開発について発言しているのはナンセンスに近い。 まず、現在の移動手段が、打ち上げだけで生きるか死ぬか