いま、歩く人が増えている。コロナ禍でその傾向にさらに拍車がかかった。歩くことは即できて手軽。コストもほぼゼロ。それでいて御利益満載の万能トレーニングである。今回、温故知新なウォーキングの魅力を大解剖する。 取材・文/井上健二 イラストレーション/三上数馬 取材協力/長尾和宏(長尾クリニック院長、医学博士) 初出『Tarzan』No.828・2022年2月24日発売 病気の9割は、歩けば治りますよ 腹八分目がいい、夜更かしするな、呼吸はゆっくり大きく…。現代にも通じる健康作りの神髄を江戸時代に説いたのが、儒学者・貝原益軒の『養生訓』。しかし、そこに「歩け」という教訓は含まれていない。 「自動車も電車もない江戸時代は歩くことが当たり前。現代人は歩かないからこそさまざまな不調に悩まされています。病気の9割は、歩けば治りますよ」(医師の長尾和宏さん) それは兵庫県で町医者として多くの患者さんと接す