2010年11月4日深夜、尖閣諸島における中国漁船衝突事故の状況を撮影したビデオがYouTubeに投稿されているという情報が、ネット上を駆け巡った。この11月のネットをにぎわせた「尖閣ビデオ流出事件」は、自ら動画の投稿者「sengoku38」であると告白した海上保安官の登場、その逮捕見送りなどを経て、ひとまず終息を迎えつつある。今回の流出事件は、報道初期の段階でインターネットが大きな役割を果たした。ここでいま一度この事件を冷静に振り返ってみると、2010年現在のネットとジャーナリズムの関係がくっきりと見えてくる。 ■ 「尖閣のビデオがネットに!」 YouTubeに投稿され、瞬く間にTwitterで拡散していった 「作り物とは思えない」――そんな迫真の衝突映像がTwitter上で話題を呼んだのは、2010年11月4日未明のことだ。日本の巡視船に、しぶきを上げて大きく舵を切って衝突してくる漁船