川島芳子がテレビ番組になった(6日)。川島芳子とは中国・清王朝が終わりをとげたとき、最後の親王がそれまで親交のあった長野県出身の大陸浪人といわれた川島浪速に、「玩具として」与えたといわれている娘である。 時として男装をして男言葉を使い、時として振り袖姿となって宴会の華となり、関東軍の将軍の間を縫って華やかな行動で話題を呼んだ風変わりな彼女は、昭和初期に日本のマスコミの格好の話題となったが、戦後に日本軍に協力した漢奸(かんかん)(中国に対する裏切り者)として北京で銃殺された。 二十数年ほど前、私もそれなりに関心をもち彼女の歴史的役割を調べるべく『男装の麗人・川島芳子伝』(文春文庫)をまとめたが、言動に一貫性がなく単なる目立ちたがり屋にすぎなかったというのが私なりの結論である。世に言う日中間のスパイだとか、清王朝の再興を目指したとか、関東軍の中枢に入り込んでいたことなども伝聞が多く、確かな裏付