鹿児島市の高齢夫婦殺害事件で、強盗殺人罪などに問われ、死刑を求刑された同市三和町、無職白浜政広被告(71)の裁判員裁判の判決が10日、鹿児島地裁であった。 平島正道裁判長は「今回の状況証拠によって被告を犯人と認定することは許されない。必要な捜査が行われたのか疑問が残り、検察官の主張を認めることはできない」と述べ、無罪を言い渡した。裁判員裁判ではこれまで5件で死刑が求刑されたが、無罪判決は初めて。 今回の事件は、5件の中で唯一の否認事件として注目されていた。自白や目撃証言など被告と犯行を直接結びつける証拠がない中、被害者宅に残された指紋やDNAといった犯人性をうかがわせる状況証拠(間接証拠)の評価が最大の争点になった。 判決は、「荒らされた整理ダンスに容易に発見できる金品が残されていた。犯人は被害者の頭や顔を100回以上殴打しており、強盗目的にそぐわず、むしろ怨恨(えんこん)が疑われる」と述