写真は必ずしも真実を伝えるとは限らない。「真を写す」という名を持つメディアは、使い方次第で実にたやすく多くの人々を欺くことができる。前後の文脈から切り離した写真に新たな物語を付与することで、意図的に驚くべき新事実を捏造することが可能なのであった。日常にあふれかえる「嘘」や「やらせ」の片棒を担ぐ写真を、我々はどのように読み解けばよいのだろうか。 2002年にちくま文庫から出た新藤健一の『崩壊する映像神話』は、こうした写真や映像の持つ「魔力」について検証した書であった。誰もが知っているような事件を取り上げ、それを伝える写真と映像がどのように使われていたのか、具体的に考察がなされている。一人歩きするほどに写真に力を与えてしまった人間は、それによって自らが欺かれるという愚かな無限ループに落ち込んでいる。 魔術的な写真の持つ力を理解した上で、それらをいかに読むかということを論じた書が、名取洋之助の『