現在の日本社会の状況をどう見るかと言えば、やはり「受け身」ですよね。東西冷戦が終わり1990年代以降、日本は世界の中で独自に「自分は何なんだ、一体何をするんだ」「近隣のアジアとどういうつきあいをしていくのか」ということを選ばなければいけなかった。だけど結局、状況に流されるという形でしか対応できていない。それがいつの間にかもう当たり前になってしまっていて、今はもう流されているという感覚もないかもしれない。 内政を見ても、現在の衆参両院の「ねじれ」は、いわば作られた現状です。小泉元首相が郵政解散をやった時に、国民の公務員に対する反発を巧みに利用した。本来、行政の長である首相が役所を敵にまわして、それを叩(たた)いて点数稼ぐというのは奇妙な現象です。議院内閣制をとる憲法では想定されていない。 ところが、彼は意図的に演出して、国民の拍手喝采(かっさい)をさらい、それで与党は衆院3分の2となった。参