ヒトのES細胞(胚性幹細胞)から小脳の神経組織を作ることに世界で初めて成功したと、神戸市の理化学研究所多細胞システム形成研究センター(旧発生・再生科学総合研究センター)が発表した。29日付の米科学誌セルリポーツ電子版に掲載される。iPS細胞からの作製にも成功しており、小脳の難病の原因究明や治療薬の開発に役立つと期待される。STAP細胞論文の共著者で、昨年8月に自殺した笹井芳樹氏も著者に名を連ねる。 笹井氏らの研究チームは2010年、マウスのES細胞から小脳の神経細胞「プルキンエ細胞」を高い効率で作製し、論文発表した。ヒトでも今回、培養35日目でES細胞の約3割をプルキンエ細胞にすることができたという。 小脳の他の種類の神経細胞も同時にできたため、胎児期に小脳が作られる状況に似せて培養すると、小脳に特徴的な層構造の神経組織ができた。マウスでは組織の再現はできなかった。妊娠13週相当の状態