2008年05月03日03:30 カテゴリ書評/画評/品評Medicine 善悪の彼岸を越えた傑作 - 書評 - 破裂 破裂 (文庫版上下) 久坂部羊 ついに医療フィクションは「白い巨塔」を越えた。 日本人必読。特に40才以上は、介護保険の支払いを遅らせてでも読むべし。 本作「破裂」のすごいのは、医療という行為、特に高齢者の延命という行為そのものの善性に疑問符を打ったこと。「白い巨塔」はあくまで医者の倫理の話であり、その点は「チーム・バチスタの栄光」も変わらないが、本作では医療そのものの倫理を問うているのだ。 本作には、「白い巨塔」の財前や、「チーム・バチスタの栄光」の田口/白鳥のような明白な主人公は登場しない。その代わり、四人の主人公格の登場人物たちが、それぞれの正義を追求していく。 解説・大森一樹 医者の不用意なミスを追求するジャーナリスト、松野も正義感よりはノンフィクション大賞狙いの