ひどい人がいるものです。昔、住んでいたマンションの前を流れる川に自転車が投棄されているのを見てしまいました。ひどいやつがいるものだ、けしからんとは思いつつも濡れたり汚れたりするのが嫌だしそもそも誰かしら、例えば市の然るべき部署の人がやるのであろうからと別に拾うわけでもなく、毎朝一向に拾われる様子のないそれを見ては、世の中には全くひどいやつがいる、川の景観を、自然のナニガシを何だと思っているんだと、憤りながら通勤していたものでした。 その後半月ほど、自転車は撤去されるわけでもなく、おいおい周辺住民はなにをしているんだ、あ、俺やんかーなど、自転車が徐々に周りに生え行く草々に覆われるとともに徐々にこの不法に投棄された自転車を見てみぬ振りしていた薄い罪悪感も徐々に消え行くのを感じました。即ち、自転車は半月もしないうちに川をせき止め、徐々に堆積してきた川底の土の上に出現した草たちに覆われ始めたのであ