気が付いたら不思議な部屋に立っていた。 目の前には扉が二つ。 にこやかな笑みを湛える爽やかな青年と、体調の優れない中年女性がドアノブを握っていた。 女の人の窪んだ目が気味悪かった僕は、青年に近寄って声をかけた。 「ここはどこですか?」 「ようこそ。ここは裕福な扉です。どうぞ、お通りください」 そう言って、青年は扉を開き僕をくぐらせた。 目の前に広がる、ついさっき見たばかりの光景。 青年と女性とがそれぞれのドアノブを握る部屋に辿り着いた。 わけの分からない僕は、再び青年に声をかける。 「ここはどこですか?」 「ようこそ。ここは裕福な扉です。どうぞ、お通りください」 そう言って、青年は扉を開き再び僕をくぐらせた。 目の前にはついさっき通り抜けたばかりの光景が広がっていた。 三度同じことが続いた僕は今度こそ事情を確かめようと勇んで青年に近づいた。 「どうしてあの女性は体調が優れないのですか?」