新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の第5波到来で全国の感染者報告数が過去最高を更新することが増えている。この元凶と言われるのが新型コロナウイルスの変異株の一種、デルタ株だ。 東京都ではこのデルタ株の蔓延で医療機関の新型コロナ対応ベッドがほぼ満床となり、感染者の多くが自宅療法を強いられている。その中には急激な症状の悪化でも入院治療を受けられず自宅で亡くなってしまう悲しいケースも発生している。デルタ株はどのようのものか、そしてその対策は? 現時点の最新情報に基づき解説する。 デルタ株感染者が持つウイルス量「従来株感染者の1260倍」 大きさ約100nm(ナノメートル)、1円玉の約20万分の1という極めて小さい新型コロナウイルスは、約3万個の「塩基」と呼ばれる遺伝情報で作られている(ヒトの場合は約30億個)。ウイルスはヒトの細胞に感染すると、そこを間借りしてこの遺伝情報を送り込んでコピ