電子契約は、朱肉とハンコを使って押印することで二段の推定が成立する紙の契約書と違って、印影がないものが普通です。しかし、押印による印影がないと、契約として有効に成立しているのか不安という方も少なくありません。この記事では、なぜ電子契約では押印による印影が不要なのか、印影がなくとも法律上有効と言える理由について、解説します。 1. 紙の契約書におけるハンコの印影と押印の意味 印影とは、紙に印章(ハンコ)を押すことで付着する跡のことであり、押印とは、作成者の意思により作成された書類であることを証するために印を押し印影を書類に残す行為のことです(関連記事:押印に関する法律用語と法律知識—印鑑・印章・判子・印影の違い)。 紙の契約書を見ると、もれなく赤い朱肉で印影が押印されていることと思います。このような印影を契約締結の証跡とする商慣習が確立している国は、日本を除いては中国・台湾のみであり、押印は