東京都健康安全研究センター年報,56巻,369-374 (2005) 日本におけるスペインかぜの精密分析 ( flu.pdf : 520KB, Acrobat形式 ) 研究要旨 人口動態統計と内務省発行の「流行性感冒」を用い,日本におけるスペインかぜについて詳細に分析した. スペインかぜの1回目の流行は1918年8月下旬から9月上旬より始まり,10月上旬には全国に蔓延した.流行の拡大は急速で,11月には患者数,死亡者数とも最大に達した.2回目の流行は1919年10月下旬から始まり,1920年1月末が流行のピークと考えられ,いずれの時も大規模流行の期間は概ねピークの前後4週程度であった. 研究目的 1918年から1920年に流行したスペインかぜは,全世界で患者数約6億人で,2,000万から4,000万人が死亡したとされている.スペインかぜはヒトにおけるA型インフルエンザウイ