2016年、大阪市鶴見区にオープンした「TSURUMIこどもホスピス」。利用者は主にがんや難病に罹り余命いくばくもない子供と、その親だ。ゲームやおもちゃで遊ぶための専用部屋や、カフェ風の部屋、親子で宿泊できる部屋は高級ホテル級……。運営は寄付で賄い、利用料は一切とらない。副理事長で小児科医の原純一さんに日本初の子供ホスピス誕生の経緯と、「命を救えなくても、諦めるのではない。よりよい生き方に寄り添いたい」という思いを聞いた――。 ※本稿は、『医学部進学大百科2024完全保存版』(プレジデントムック)の一部を再編集したものです。 小児科医としての疑問、そして迷いが晴れた日 「すごいでしょ。この子たち、ゲームに夢中です。余命いくばくもない子がここでは徹夜でゲームをしているんです。家では許されないけれど、ここでは大目に見てくれる。付き合っている親御さんや我々スタッフのほうが先に参ってしまいそうや」