「日本よ!」、と天が呼びかける声が聞こえるような気がする。私たちは今回の東日本大震災をどう受け止めるべきなのだろうか。この出来事を国家覚醒の大きなきっかけとして捉えなければ、この未曽有の犠牲が報いられることはあり得まい。 私は被災地への東京としての協力のために二度東北へ赴いたが、自分の足で踏みこんで眺めた被災現地の状況はまさに地獄絵だった。かつて講演のために訪れたこともある気仙沼の港町は、果てしなくつづく瓦礫の中に炎上した重油の残滓と死臭のただよう、天変地異のもたらした異形の世界に変わりはてていた。 遠洋漁業のための数百トンの巨きな漁船たちは津波に乗って町を襲い、建物をなぎ倒して町並みの奥に転覆していた。私が出会ったある水産加工業者は、自分の家と工場のある建物に向かって突っ込んできた巨大な漁船が、間一髪家からそれて、斜め後ろのさらに大きな建物を一瞬にしてなぎ倒して過ぎるのを建物の屋上から固