今月19日に脳幹出血のため亡くなったロックバンド・BUCK-TICKのボーカル・櫻井敦司さん。1980年代~90年代にかけ「『ロッキング・オン・ジャパン』『音楽と人』を通じて、旧世紀中は公私ともに濃密な時間を過ごしました」という音楽評論家・市川哲史氏が悼む。 ◇ BUCK-TICKは日本でいちばんマニアックで、ダークで、実験的で、万人受けしない、変てこなロックを36年間一貫して鳴らしてきたにもかかわらず、日本でいちばんポップなロックバンドです。そしてフロントマンの櫻井敦司は、その非日常的な存在感と世界観を一身で体現してみせた、稀有な“負のエンタテイナー”でした。 私が知る櫻井敦司は、ロックバンドで唄うために生まれてきたとしか思えない、見た目も中身も「男前」の兄ちゃんでした。まだバンドとは無縁のころ、工場のベルトコンベアの前で、次々に流れてくる部品を眺めて「俺はなぜこんなことしてるんだろ」と
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