書評家・作家・専門家が《新刊》をご紹介! 本選びにお役立てください。 (評者:東畑 開人 / 臨床心理学者、白金高輪カウンセリングルーム 主宰 http://stc-room.jp/ ) はじめに断っておく。広い読者に向けられた本でもあるけれど、ひとりの心理士として書きたい。この書評の題は、そういう思いからつけたものだ。 私は信田さよ子を知らなかった。不明を恥じる。だけど、私だけじゃない、と言い訳したくなる。誰も信田さよ子を知らなかったのではないか。 もちろん、みんなが信田さよ子を知っている。それもわかっている。彼女はおそらく、日本で最も有名な心理士だ。アディクションとDVの第一人者であり、数えきれないほどの本を書き、多くの良き読者がいる。 それでも思う。信田さよ子は孤独ではなかったか。この25年間、彼女はたった一人で体系を編み上げ、オルタナティブな臨床心理学を構築してきたのではなかっ
![私は信田さよ子を知らなかった『家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ』 | カドブン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c9ea994bf21090270cee45cab866c24a8fbfafe9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fkadobun.jp%2Fmedia%2F001%2F202102%2F7a9c5d21d953b2fb6afa094fbcddca68.jpg)