牛尾憲輔。「agraph(アグラフ)」名義で先鋭的な電子音楽作品を発表する一方、2014年のTVアニメ『ピンポン THE ANIMATION』(湯浅政明監督)を皮切りにアニメ・実写双方の劇伴作家としても多数の作品を手がける音楽家だ。昨年公開された『リズと青い鳥』(山田尚子監督)では、作品の求めるコンセプトに現代音楽の手法や数学の知識を駆使した作曲で応え、同作はその年の実験的な作品に贈られる毎日映画コンクール・ 大藤信郎賞を受賞した。そんな牛尾氏が『ピンポン THE ANIMATION』以来5年ぶりに劇伴を手がけるTVアニメが、2019年1月より放送されている『ブギーポップは笑わない』だ。1983年生まれの牛尾氏は、1990年代後半にカリスマ的な人気を誇った原作小説の直撃世代。そこから受けた様々な影響は、いわば牛尾憲輔が「agraph」になる前の「前史」を形作ってきたという。今回のインタビュ