【テヘラン田中龍士】イランでは今月中旬以降、核開発疑惑に関して科されていた欧米や日本などの制裁が相次いで解除されたことを受けて、株式市場は上昇傾向をみせている。しかし、長年の国際的な孤立が招いた外貨不足は依然として解消できておらず、イラン通貨リヤルは低迷したままだ。一部の金融機関では取り付け騒ぎも起きており、専門家からは、制裁解除の効果が実感できるのは「早くても半年後」と悲観的な見方が出ている。 「私の預金を返して」。昨年末、首都テヘランの信用金庫「サマン・ホジャジ」の事務所前に押し寄せた預金者が口々に叫んだ。男性職員(31)は「預金は投資などの運用に回しており、預金者に払える現金は限られている。待ってもらうしかない」と話した。