どうしようなく高まる経済的・社会的閉塞感 朴槿恵政権の不幸は、1つには前政権の「キャッチアップ終了」宣言が2つの点で裏目に出たことであった。 1つはいわゆるアベノミクスによる日本の「6高」是正と、李明博政権同様の製造業育成を遥かに大きなスケールで展開できる中国のキャッチアップに挟撃され、韓国産業の「躍進」に持続性がなかったことである。2015年から16年にかけては造船、海運のみならず石油化学や鉄鋼などにも構造調整懸念が広がっていた。 さらに重要な、もう1つの点は、無理な経済運営で構造問題が積み上がり、民族主義の高揚とは裏腹に、中産層以下の生活実感はむしろ苦しくなったことである。 李明博政権ではそれでも成長が続いたため、不満は抑え込めた。しかし2012年以降は世界貿易の成長鈍化(slow trade)を強く受けて、実質経済成長率が潜在成長率の3%を越えたのは2014年の1度きりとなり、2%台