バルトの鉄の女が、ウクライナの領土を蹂躙するロシアに警戒心を露にしている。旧ソ連から独立し、「命のビザ」の杉原千畝氏が滞在したとしても知られるリトアニア。第5代大統領、グリバウスカイテ大統領はNATO(北大西洋条約機構)の一員として、ロシアの拡大主義に真っ向から異を唱え、「彼らは隣人を脅威に陥れている」との危惧を繰り返す。リトアニアはEU(欧州連合)内でも対露強硬路線を主導。一方、プーチン政権はロシアを「テロ国家」と言ってはばからない鉄の女に「過激主義者」のレッテルを張る。東(ロシア)と西(欧米)の「新冷戦」の言葉も飛び交うつばぜり合いの中で、EUの本丸で、ある事件が起きた。 『レッド・ダリア』 暴露された大統領の過去 ベルギー・ブリュッセル中心部に居を構えるベルレモンビル。EUの中枢機構が入居する19階建ての巨大な建物は上から見ると十字架の形をなし、周囲に威容を解き放す。重厚なセキュリテ