【噂の流布編】 離婚から数年が経ったとある日。 結衣さんが泣き腫らした顔で訪ねてきました。 「元旦那が嫌な噂を流してるの…」 取り急ぎミルクをたっぷり入れた温かい紅茶を淹れて。 こくりと飲んで落ち着いたところで、 ゆっくり聞いてみたら… 「『離婚の責任は俺にない。 慰謝料も養育費も払ってないのがその証拠。 結衣に非があって離婚した』って」 誰からそんな酷い嘘を聞いたかと思えば、結衣ママだそうで… 「もちろん結衣ママは その場で否定したんだよね」 当事者の母親ですもん。 そこはぴしゃりと言ってくれるはず。 「それがね…」 涙をぽろぽろこぼす結衣さん。 結衣ママはその場ではなにも言わなかったらしく。 それどころか結衣さんにいわれなき叱責をしたそうです。 「こんなこと言われたけどどういうこと? 恥かいたじゃないっ」 沈黙は肯定とも取られかねず、 きっちり否定しなければならなかったところなのに…