尖閣国有化から5年。いまも頻発する中国海警の領海侵犯に日本は「いつものこと」とばかりに麻痺しているが、事態は深刻だ。2016年までは尖閣周辺の日本領海やそのすぐ外側で日本の主権の及ぶ接続水域に侵入してくる中国海警の武装艦艇はいつも2隻だった。だが2017年の今は必ず4隻の行動をともにする艦隊となっているのだ。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が警鐘を鳴らす。 * * * 中国の軍事研究を専門とするワシントンの民間研究機関「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー研究員は語った。 「いまの中国海警の尖閣攻勢はすぐ背後に控えた海軍と一体の尖閣奪取の軍事能力向上の演習であるとともに、日本側の防衛能力や意思を探っている。中国軍は大型ヘリ、潜水艦、新型ホバークラフトを使っての尖閣奇襲占拠作戦も立てている。長期には尖閣占拠により沖縄を含む琉球諸島の制覇から東シナ海全体の覇権をももくろ