「意志が弱い」「快楽主義」といった先入観の下,長年スティグマを押し付けられてきた依存症。「依存症の本質は快感ではなく苦痛の緩和にある」と語るのは,日々の診療にとどまらず治療プログラムの開発や保健行政機関と連携した地域での活動など,多方面で依存症治療に尽力を続ける松本俊彦氏だ。医師は,行き場のない苦痛の緩和を依存に求める患者,そして彼らへのスティグマに対して何ができるのか。今春より精神科医として歩み始めた古賀公基氏(長崎大)が松本氏にインタビューを行った。 古賀 IR誘致などで注目が集まる中,依存症治療の需要は増加し今後さらなる社会問題になると考え,危機感を抱いています。そんな折,先輩医師に紹介されて松本先生の著書を拝読しました。当事者の抱える苦悩やつらさが生々しく描かれ,それに対するアドバイスが実用的で,以来先生のことを私淑しています。 松本 ありがとうございます。 古賀 診療が難しく,苦
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