沖縄県中城村に住む元中学校教諭の仲座包子(かねこ)さん(78)が、教員生活の最後に担任を務めたクラスの卒業文集をめくると「安室奈美恵」と書かれたページだけ「思い出」の欄が真っ白だ。3年生になると芸能活動でほとんど学校に来られなかった少女は、進路を心配する仲座さんに言い切ったという。「高校には行きません。歌とダンスで生きていくから」。その迷いのない視線を仲座さんは忘れられない。(社会部・新垣綾子) 大きな目に細長い手足。安室奈美恵さん(40)の第一印象は「子鹿のバンビ」だった。この年の秋にグループでメジャーデビューすることになる安室さんは既に、金曜日に上京して土日にテレビやCMの収録をこなす日々。仲座さんには「火曜日から金曜日の朝までは学校に行く」と宣言したが、その約束も始業式から1カ月もすると果たせなくなっていた。 「人気が出ることはうれしいけれど、東京で誰かにだまされていないか、厳しい芸