既成概念を塗り替える書体 時代をひらく新書体を求め、1970年(昭和45)から写研が開催した「石井賞創作タイプフェイスコンテスト」。第1回で1位となった中村征宏氏(*1)の「細丸ゴシック(のちのナール)」は、見たひとに鮮烈な印象を与えた。 第1回石井賞創作タイプフェイスコンテスト1位・中村征宏氏「細丸ゴシック(のちのナール)」『写研19』(写真植字研究所「写研」編集室、1970年5月) 「活字書体に慣れた者にとっては思いもよらないデザインでした。それまで『ありえない』と思われていた形を提示し、既成概念を崩した書体だったのです」 いったいなにが、橋本さんにそこまでの衝撃を与えたのだろうか。 ナールは、1.5mmの線幅で正方形の字面いっぱいに描かれた、フトコロの広い丸ゴシックだ。従来の丸ゴシックといえば、石井丸ゴシックのようなフトコロの締まったスタイルであり、ナールのようなフトコロの広い明るい
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