いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。 アリは死にかけていた。 いつものように餌を探しに行くところだった。いくばくか巣を離れたところで、急に人間の足に押しつぶされた。たまたま小石の影にいたので、何とか命は取り留めた。しかし、仲間はみんなぺちゃんこになってしまった。 思えば無口な奴らだった。口を開けば「女王様」としか言わなかった。仕事には厳しいノルマが課せられていた。仕事を終えて巣に戻ると、頑張って探してきたご馳走を、「女王様のため」と全部取り上げられる。そんな毎日だった。 急に一人になると、いろいろなことを考えだす。巣では、オスアリと女王の娘がチャラチャラと遊び呆けていた。取り上げられたご馳走を、いつもあいつらが美味しそうに食べていた。そんなことを思い出し、悔しさと悲しさが胸を突き上げた。 もう身体が動い