スティーブ・ジョブズが亡くなってから、2年半が過ぎた。その間アップルは、iPadやiPhoneの新製品を出し、好調な売上を誇っているものの、「世界一のイノベーター」というアップルに対する大きな期待に応えられる画期的な製品を出せていない。アップルは、「偉大な企業」ではなく、単なる「良い企業」になっていくのだろうか――。元ウォール・ストリート・ジャーナルのアップル担当記者であり、スティーブ・ジョブズの肝臓移植やiPadのスクープなどで著名なケイン岩谷ゆかり氏が、著書『沈みゆく帝国』を機に、アップルの今をひも解く。 2011年10月のある晴れた朝、アップルの世界は動きを止めた。前CEO(最高経営責任者)、スティーブ・ジョブズの永逝を悼むため、米国カリフォルニア州クパチーノにあるアップル本社の中庭に何千人もの社員が集まっていた。 ジョブズは何年も前から膵臓がんと闘ってきており、その彼が2週間前に亡
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