【ソウル=名村隆寛】韓国の文在寅政権は与党「共に民主党」の重鎮議員、文喜相氏の特使としての派遣を、対日関係の改善への足がかりにしたい考えだ。 韓国は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備問題で中国との関係を悪化させている。中国と比べ日本との関係改善は難しくないというのが、一般的な見方のようだ。 文在寅大統領は日本に対して、慰安婦や竹島など「歴史」がからむ問題と経済・安保での協力を切り離す「ツートラック外交」で臨む姿勢を示している。低迷が続く韓国経済の再生には日本からの経済協力が必要であり、協力獲得はさほど難しくないと判断していることが背景にある。 ただ、慰安婦問題をめぐる日韓合意の精神に反し、釜山の日本総領事館前に慰安婦像が違法に設置され、ソウルの日本大使館前の像も撤去されていない。こうした中、日本政府による対抗措置としての通貨交換協定の協議中断と経済協議延期は