殺菌、発芽防止のための低線量照射 レントゲンによってエックス線が発見されてから1世紀が過ぎました。今世紀は原子力時代といわれるほど、原子力が多方面に開発利用されてきました。とくに平和利用として、医療をはじめ産業のあらゆる分野に活用され、その社会的貢献は実にめざましいものがあります。 食料産業の分野において、農作物などへの放射線照射の実用化研究が始まったのは、ソ連(当時)が1958年にジャガイモの発芽防止に放射線を利用したのが最初といわれています。ジャガイモやタマネギなどの発芽組織の細胞は放射線の影響を受けやすく、他の部分の細胞はあまり影響されないので、商品価値を落とさずに発芽を防止することができます。比較的低線量で照射されたジャガイモやタマネギは、芽を出すことなく半年以上も常温で貯蔵することができます。 日本でも食品照射の実用化研究が始まったのは、1965年に原子力委員会の中に食品照射専門