通常のA型インフルエンザウイルスの場合、感染した細胞から出芽した子孫ウイルスのHAは活性化 していません。気道や腸管の粘膜上皮細胞から分泌されるプロテアーゼ(トリプシン)によって初めてHAが活性化し、 感染能力を獲得します。 気道や腸管以外の他の臓器にウイルスがやってきたとしても、HAが活性化されないため感染すること ができません。このため、通常のインフルエンザウイルスは、気道と腸管でのみ増殖し「インフルエンザ」を 発症させます。 高病原性のA型インフルエンザウイルスの場合、全身の細胞内に存在 するプロテアーゼ(フリンなど)により活性化するため、感染した細胞から出芽した子孫ウイルスのHAはすでに活性化した 状態になっています。このため、気道や腸管の粘膜上皮細胞以外の臓器にも感染することができ、全身で 増殖して重篤な症状を引き起こします。
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