気持ち悪さに支配され、何もする気にならない。住んでいた部屋の窓から外を見て、ここから飛び降りたら楽になるか? と、これまで1度も考えたことがないことを、考えた。 つわりが終わると走れなくなった。信号が赤になりそうだったら、これまで走っていたけれど止まって次を待つ。電車は1本見送って座る。エスカレーターは右側を歩くのではなく左側に立つ。駆け上っていた時は気づかなかったけれど、いたるところに階段があった。 ここまで体調が悪いと、産後はむしろ楽だった。そして、今度は時間が思うようにならなくなった。走れるようになったので、夕方はいつも走る。地下鉄の駅の階段を駆け下り、エスカレーターの右側を駆け下り、平らなところはスピードを上げ、走って走ってそのうち転んで足をくじくなと思いながら電車に飛び乗った。 時間がないから、去年までなら「これは違うと思う」と言っていた仕事に、口をはさまず、さっさと仕上げるよう