自然科学研究機構 分子科学研究所(IMS)の大森賢治研究主幹/教授らの研究グループは、分子1個の中で波のように広がった量子力学的な原子の状態(波動関数)に書き込まれた情報を、10兆分の1秒だけ光る高強度赤外レーザーパルスを照射することにより一瞬で書き換える技術を開発した。同成果は、2011年4月10日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Physics」(オンライン速報版)で公開された。 現代の高速情報処理はSiを用いたトランジスタの高集積回路に依存しているが、プロセスの微細化は限界が見えてきており、各種のナノテクノロジーなどを用いても、電荷を情報の担い手(担体)として用いる限り、電子の染み出しによって生じる熱やエラーなどの問題を避けることはできない。 これを解決するために同研究グループでは、電気的に中性な物質の量子力学的な波(波動関数)を情報担体として使うことに着目。1兆分の1秒以下