舞台は激しい内戦を終えた1940年代のスペイン・カタルーニャ。勝ち組と負け組が共存して暮らし、戦いの傷跡が生々しく残るこのカタルーニャの森で、11歳の少年アンドレウは血まみれになった親子の遺体を発見する。彼らが最期の瞬間に遺したのは「ピトルリウア」という謎の言葉。それは子どもたちの間で語り継がれる、洞穴に潜んだ翼を持つ怪物の名前だった。だが、最愛の父に殺人の容疑がかけられた時から、アンドレウの世界は音を立てて崩れはじめる。警察の追及を逃れるため、姿を消した父。安全のために祖母の家へ引き取られたアンドレウは、そこで大人たちがひた隠しにする惨たらしい現実を目の当たりにする。小学校の教師と関係を持つ指先を失った従姉。裸で森をさまよう美しい青年。そして激しい戦いを生き延びるため、嘘を積み重ねて暮らしてきた村の人々。理想を失わない父の姿に誇りを抱いてきたアンドレウは、やがてさまざまな謎が明らかになる