ニンゲン合格 西島秀俊 Amazon ★★★ 吉井豊(西島秀俊)は14歳のとき交通事故に遭って以来10年間昏睡状態だったが、突然病院のベッドで目覚める。彼を出迎えてくれたのは父の友人・藤森(役所広司)だった。10年の間に一家は離散し、吉井家の土地は藤森が借りて釣り堀と産業廃棄物の不法投棄を行っている。父・真一郎(菅田俊)、妹・千鶴(麻生久美子)、母・幸子(りりィ)と別個に会った豊は、やがてポニー牧場を再建する。 浦島太郎状態の豊が世界に自分の存在をねじ込み、ポニー牧場という生きた証を作り、そのすべてを壊して死んでいく。10年間昏睡状態だった豊にとっておそらく夢と現実の境界は曖昧で、だからこそ自分が存在したかどうかが気になるのだろう。一度死んで生き返ってまた死ぬ。そういったプロセスの中には家族との微妙な関係が含まれている。目が覚めたら一家が離散していたというのは過酷な現実だが、それを冷静に受