●『輪るピングドラム』最終回。素晴らしかった。納得できる終わり方。現実にはそんなことはありえなかったし、そして、それを思い出すことも決してできないが、しかし確かに存在する「ある記憶」に支えられることで、人は生きている。ある意味「夢オチ」とも言える、すべては無かった、と同時に、あった、という形で作品が閉じられる。いや、すべてが実在したからこそ、「すべては無かった」と言えるこの世界が残された。冠葉と晶馬が実在し、彼らが自らの存在を全うしたからこそ、彼らの痕跡はこの世界からきれいに消えることができた(この消滅は積極的な消滅であり、こどもブロイラーによる透明化とは異なる)。この作品のすべてが、(逆デジャブとでも言うべき)思い出せない記憶のもつリアリティに賭けられているところが素晴らしい。冠葉と晶馬は消え、ただ(もはや誰の目にも映ることのなくなった)ペンギンだけが残される。誰の目にも映らない、誰から