JR仙台駅に近い10階建てのビルから昨年暮れ、佐々木桜さん(35)は身を投げた。宮城県石巻市に同性のパートナーと住んでいた。遺書はなく、理由はよくわからない。自分らしくありたい、生きづらい世の中を変えたいと、もがいて、もがいていた。 一緒に暮らしていた佐々木敬海(ひろみ)さん(42)は女性の体で生まれたが、男性として生きている。2人は6年半前、ネットで知り合った。 精神科に通院し体調を崩しがちだった桜さんを、敬海さんは、震災復興工事の警備員の仕事をしながら支えた。桜さんは両親に恋人として紹介したが、理解が得られなかった。写真店を探し、一昨年10月、ウェディングドレスとタキシード姿で記念撮影をした。 2人で悩んだ末、その年の12月、養子縁組をした。敬海さんが養母、桜さんが養女で、同じ佐々木姓に。望んだ形とは違うけれど、正式な「家族」になった。 昨年6月、桜さんは同性婚の法制化を求める人権救済