もし、事実無根の訴えを社員側から起こされたら、経営者はどう動くべきか。世の経営者は、営業は剛腕でも、人の問題となると弱腰で、ズルズルと問題を引っ張ってしまいがちだ。「問題を長引かせても、誰も得しない。裁判に持ち込む権利は、会社側にもある」と島田直行弁護士は言う――。 何となくあやしい、と思いつつ採用 労働裁判を会社から仕掛ける。経営者などを集めたセミナーでそう語り始めると、参加者が「そんなことできるの」と身を乗りだして聞きだす。 労働裁判といえば、労働者が訴えるものというイメージだろう。経営者はとかくディフェンス一本という構造になってしまいがちだ。だから「会社側がイニシアティブをとって動くこともできます」と言うと、「まったく想像できない」という経営者が少なくない。 しかし、誰もが裁判を受ける権利を持っている。会社から労働者を相手に裁判をしてもおかしくない。実際のところ、私は会社側から申し立