オシムが代表監督に就任した時、千葉のGMを務めていた祖母井はグルノーブルへ行くことが決まっていた 【宇都宮徹壱】 日本代表監督イビチャ・オシムの通訳となった千田善。彼の本来の肩書は「国際政治ジャーナリスト」である。ベオグラードでの語学留学経験があり、長年にわたり旧ユーゴスラビア紛争の取材も続けてきた、いわば旧ユーゴのエキスパート。一方で、自身もプレーヤー経験のあるフットボールファンでもあり、日本代表の国際試合では旧ユーゴ系の監督会見で通訳を務めることも少なくなかった。よって、かねてより親交があった私から見ても、千田が「オシムの通訳」という重責を担うことは、ごく自然な流れのように感じられたのだが──。 「オシムさんとは、(ジェフユナイテッド)千葉の監督時代にテレビの仕事でお会いしたことがありましたが、いざ通訳ということになると、やっぱり緊張しましたね。『よろしく』とは言っても、向こうはこちら